本文
生命科学コースの菅研究室(分子進化発生学)が行っている日本ウルシの起源に関する研究が、一部まとめられ、本として出版されました。
ヤポネシアの動植物ゲノム(シリーズ<ヤポネシア人の起源と成立>、朝倉書店)
(序文より)近年のゲノム科学の劇的な発展により、人類が現在までの数千年間にどのように環境適応し、移動し、進化してきたかをより包括的に理解することが可能となった。ヤポネシアの先史時代の我々祖先、さらには彼らとともに列島に到来した様々な動植物の歴史的動態に関しての洞察が得られようとしている。本書のおもなテーマは、日本列島を含む東アジアにおける人間の活動と密接に関連した動植物の進化である。
本書では、ニホンオオカミ、ニワトリ、ネコ、ヒグマ、マウス、ハツカネズミといった日本人になじみのある動物のほか、ウルシ、ヒョウタン、アズキ、サトイモ、ソバ、アワ、キビ、イネなど、古来日本列島で利用されてきた植物の起源を、最新のゲノム解析から探るという試みが紹介されています。
こうしたゲノム考古学と呼ばれる分野は、菅研究室の専門ではありませんが、地域との共同研究(広島県三次市での漆生産への協力)が発展し、新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」及び後継の学術変革領域研究「統合生物考古学」の枠組みの中で研究が続けられてきたものです。
県大庄原キャンパスは、小規模な理系大学ですが、そのサイズにそぐわぬ多様な研究がおこなわれており、学生の学びたいという意欲に柔軟に対応することができます。
[この研究の一部は、文科省科学研究費21H00347(2021-2022菅)、京都市山本文二郎漆科学研究助成(2018-2020菅)および県立広島大学重点研究(2017菅)からのサポートを得て行われました]